時刻は17時15分が近づいていた。
夏は18時、冬は17時。
街灯の少ない町だからこその下校時間でもあるのだろう。
もちろんチャイムは聞こえていたし、課題も終わった。
けれど帰る素振りすら見せていない私へと、図書室のドアを開けて入ってきた……一応は初めましての先生。
「まだ帰りたくない?」
「……もう少し」
「家はここから遠いの?」
「…徒歩で…10分くらいです」
ごめん、本当は20分くらい。
嘘ついた。
「10分か……、んー、もう今でさえ暗くなってきてるってのに。じゃあ……18時までにはぜったい帰ること、約束できる?」
少しでも延ばせられるならそれでいい。
「はい」と素直にうなずくと、困ったように微笑んだ先生は私の前にひとつの鍵を差し出してくる。
「図書室の鍵。出るときはちゃんと閉めて、外のアンケート箱のなかに入れておいて」
「……ありがとうございます」
「早見、いろいろ苦労してるだろうけど……味方はいるからね」



