追いかけろ、青。





瞬く間に戻った音。

ぐわんっと波が大きく盛り返すかのように、「おおおおーー!!!!」と、声という声。


何かが、起こる気がしたんだ。


今日は何かが、大きなことが、起こる気がしたの。


マウンドの上、かつてのお父さんと寺田監督の幻影ようなものが見えたり。

今もテレビ放送で伯母と伯父は微笑みながら観ているんじゃないかって、思ったり。


いつかずっと前に見えた星空が、この青空の下に映し出されるんじゃないかって。



《八木坂高等学校、なんと名門若戸に打ち勝ちました!!見事70年ぶりの甲子園出場を決めました……!!!》



打ってからすぐ走らなかったのは、打った瞬間にはもう確信していたから。


バッターボックス、バットを手放した彼は「よっしゃあーーーッッ!!!」と、青空めがけて力いっぱい叫んだ。


ダッグアウトから仲間たちが一斉に駆けてくる。


弾ける汗、見下ろす太陽、焦がす暑さと熱さ。

ベースをひとつひとつ踏んで、走って、笑って、青空へとこぶしを突き上げて。


背番号2は、誰よりも何よりも眩しかった。