「なにがなんでも打って…っ、連れてってくれるんでしょ……!!甲子園…っ!!」
欲しいもの、あるんでしょ。
甲子園に行ったらどうしても欲しいもの。
それは私にしか与えてあげられないもので、私にしか持っていないものだって。
ねえ、洸大。
────私が、欲しいんでしょ。
「「「─────………」」」
その瞬間、あんなにも音だらけだった球場にひとときの静寂が訪れた。
全員が揃って、見上げる。
ただ、ひとつ。
たった、ひとつ。
カキーーーンッッ!!!と、聞いたことないほど響き渡った金属音。
大きなアーチを描いた白球は、高く高く空へと飛んでゆく。
誰もが追いかける。
その青を、追いかける。
もしかすると空よりも高いんじゃないか、空なんか簡単に飛び越えているんじゃないか。
そんな変なことを思ってしまったほどに。
たぶん、私は、いま。
人生でいちばん綺麗な青を見ている。



