『野球のいちばんの魅力は、選手と応援の一体感だな』
『…ひと多いの、きらい』
『はは。きっと彗も1度でも味わえば、抜け出せなくなるはずさ』
野球はそこまで興味がなかった。
どちらかといえばサッカーのほうが格好いいって思ってた。
でも、野球の話を聞かせてくれるお父さんの顔だけは好きだったんだ、昔からずっと。
(お父さんの言ったとおりだった…)
誰もが思わず立ち上がる。
次はどうなるんだ、どうなるんだと、待ちわびる。
そんなふうに私には見える。
野球って楽しくてすごいね、お父さん。
「っ、───洸大…っ!!」
無我夢中、一生懸命、がむしゃら。
ああ、なんて。
なんて今の私たちにぴったりな言葉なんだろう。
この町のどこから湧いて出るんだと不思議なくらい、埋もれてしまう観客のなか、私は声を出す。
チアリーディング部に入っていたときも、ここまでの声量は出なかった。
出そうとしても出なかったというのに。



