「あーまたかっ!今の当たりすげえ良かったのになー!!」
「惜しいっ!粘れ…!粘れ友利……!!」
明らかにボールゾーンを狙ってきている球を何度も何度もカットしては、ファールボールにしていくバッター。
相手ピッチャーは打率の高い友利をフォアボールにして、次でアウトを取ろうとしているんだろう。
そんなバッターは確実な球を狙っているからこそ、言ってる。
逃げんな。
正々堂々来いよ───と。
「大丈夫か…?あれ、もしかすると申告敬遠されるんじゃないか?」
「はあ?ここまで来てそれしたら情けねえよ若戸」
申告敬遠。
それはあえてバッターを出塁させること。
相手チームの監督の指示ひとつで、友利を勝負させないことができてしまう。
そうだよ、そんなの情けないよ若戸学園。
戦え、勝負しろ、ここまできたら強豪校としての意地を最後まで見せてみろ。
「いや、一応は2点リードしてるからしないっぽいな」
背後の会話にホッとした。
どちらにせよフルカウント。
決着はすぐ後ろにまで迫っている。



