タッチアップとも呼ばれるそれは、1アウトまでの場合、条件さえ満たしていれば守備がキャッチしたあと、塁を蹴っても許されるルール。
ボールを捕った俺がタッチするのが先か。
3塁ランナーがホームに帰るのが先か。
「いっくぞーーーっ!!ぜってえ捕れよこーーだいっ!!!」
泰希いわく、世界を救うレーザービーム。
どんな長打が飛んできたとしても、いっきに俺が待つホームまで一直線に投げてくれる。
彗のおかげで俺の調子が狂った時期の練習では、キャッチミスを連発してしまっていたが。
もう、そんなことにはならない。
今だってこの大観衆のなか、見てくれていることだけは知っている。
それだけで俺の何よりの原動力だ。
「───アウトッッ!!!」
「「「っしゃあッッ!!!」」」
ブーイングと、大歓声。
俺が泰希から受け取ったボールは、キャッチしてすぐランナーに触れて、いっきにアウト2つを取った。
犠牲フライをなんとか食い止め、俺はチームメイトたちへ向けてハンドサインを送る。
これは誰かが“キツネサイン”って言ってたやつ。
『…ずっと気になってたんだけど。これって、なんのサイン?』
『ん?あー、ツーアウト』



