ライトには同じくらい肩だけは良い泰希がいる。
そこでレフトにも有馬が入れば、左右の長打コースを打たれたとしても最悪、アウトが取れるかもしれない。
そこに俺は賭けたのだ。
「……わかった」
「…有馬、」
「お前に…懸かってるからな。万が一2失点叩き出したら……殴らせろよ洸大」
「……おう」
俺の背中を叩いて、すべてを託して、監督に指示を自ら求めたエース。
《ここで八木坂高校、選手の交代を告げます。レフトの前田くんが有馬くんに代わり、ピッチャーには雪村くんが入ります》
抑えとして準備していたサイドスローの雪村を、ここで持ってくる。
左投げの有馬の次に珍しいサイドスローを登板させることは、言ってしまえば俺たちの攻撃だ。
若戸にとっては悪い意味でリズムが崩れるだろうと、俺の策だった。
────カキーーーンッ!!!
「たいきーーーー!!」
案の定、相手は犠牲フライを選択した。
そこまでの飛距離はない。
としても、きっと勝負に出てくるはずだ。



