「……友利…?」
そんなとき、動いたキャッチャー。
立ち上がってマスクを取り外したかと思えば、両手を大きく広げた。
まずの先制点が入って盛り上がる完全アウェーのなか、友利だけは笑っていた。
「たーーのしくなってきたなーーー!!!」
そう、この状況を誰よりも楽しんでいるのは友利だったのだ。
こうでなければ面白くないだろ。
若戸を弱いと思った瞬間が俺たちにあったか?
そんなチームと試合してんだぜ。
楽しくなってきたな───たったそれだけでここまでの情報量だった。
それからハンドサインで仲間たちに無言の指示を出すと、再びマスクをヘルメットに引っかける。
「……勝てる…、監督…、勝てますよ、これ」
「…安心するのはまだ早いぞ」
「……でも、」
1回は3失点に抑えた。
裏の攻撃では着実に点を返していった八木坂。
若戸が取れば取るほど、追うようにこちらも重ねていく。
4回表の時点で5-3。
たとえリードされていたとしても、裏でまた返せるだろうと期待してしまうくらい。



