「なにひよってんだ八木坂ナインーーー!!まだ1回っ、たかが3点!!!切り替えていけーーー!!」
恥じらいなんか、捨ててしまえ。
格好つけて行くような場所じゃない、そんなもので行ける場所じゃない、甲子園は。
あたしの声だけが逆に浮いた球場。
「まだ始まったばっかでしょーが!!そんな死んだ顔するために鬼練してきたんじゃないだろ八木坂……!!
若戸に勝って、みんなで甲子園っ、行くんだろーーーッ!!」
ここまで全面的に出るマネージャーは史上初かもしれない。
マネージャーといったら基本、陰で選手たちを支える立場。
でもあたしは表に出るよ。
下手だったら「下手くそ」って言うよ。
こんなところで折れてたら、水悠にも顔向けできないでしょ。
「そっ、そーだ!!ドンマイドンマイ!!」
「余裕だっ!こっからだっ!!!」
負けるな、八木坂。
ホームラン打者なんか、こっちにだって何人も揃ってる。
さすがに動揺と焦りを見せる先発ピッチャー、有馬。
どうにかしてでも士気を保たなければ飲み込まれる。
控えメンバーはあたしに釣られて、これでもかというほど声を出した。



