あたしの緊張をほぐしたいのか、単純にからかいたいだけか。
手を出して「返して」を合図すれば、断るかのごとく引き上げられてしまう。
「なんか“信”って、友利って感じじゃなくない?友利に対してシズナはなにを信じてんの?」
「……甲子園、行くって、」
「そのセリフを友利に言うのは早見だろ?」
「っ、そーだけどっ!!」
そう、そーよ。
わかってるってば。
信じたいのは、あたしがずっと信じつづけていたのは、目の前の憎たらしいあんたなんだから。
「…でも、俺がもらっとく」
「えっ、ミユには新しいの作るから…!それは友利に渡そうとしてたし、なんかあたしも嫌だしっ」
とんだ失言だと。
気づいたときには、もう遅い。
ニヤリと笑って、満足げに笑って。
居ても立ってもいられず「好きにすればっ」と、可愛げもなく言い放って、ダッグアウトに続くドアへと向かおうとした───瞬間。



