静奈side




ケタ違いだ……。

試合会場である球場をぐるりと見渡すまでもなく、あたし以上に部員全員がアウェー戦を覚悟しただろう。


さすがは野球の強豪・若戸学園高等学校。



「わっかっと!わっかっと!!オオオオオわーーかーーとっ!!!」


「今年も制覇するのはーーー?」


「「「わーーかーーとっ!!!」」」



まだ始まる前だというのに、スタンドにて本番並の練習をしてくる応援団。

レギュラー入りしなかった野球部だろう人数だけで、八木坂の部員数を簡単に超していた。


ざっと60名以上は登録されているらしく、そこに加えたチアリーディング、ブラスバンド、熱狂的な保護者やOBたち。


アニメやドラマのテーマソングを替え歌にした応援歌は、脳内に嫌なほど残る。



《後攻、八木坂高等学校。ノック含めボール回しを7分間行ってください》



試合前、最後の練習。

1秒も無駄にできない練習。



「さあ声出していくぞーー!!元気出していくぞーーー!!!」


「「「しゃあーーーッ!!!」」」