当たったのは、頭。
大きな脳震盪、物理的な後遺症が残る危険性もあった。
過去にはデッドボールで命を落とした死亡事例だってある。
「本当はそれだけで良かった……っ」
そういえば、意識を失って。
病院で目覚めたとき、いちばん最初に目に入ったのは静奈だった。
俺が意識を戻したことに安心してくれた彼女に対して、触るな!!と、避けたのは俺。
「ごめん、シズナ…、ごめん」
いつも週末はふたりでキャッチボールして、終わったあと親から渡された200円を握って自動販売機に行く時間が好きだった。
100円のジュースが並ぶ、俺たちしか知らない隠れた場所にある自販機。
誰にも教えないようにしようって、約束してさ。
───野球じゃなかったんだよ、ほんとうは。
俺がいちばん恐れていたものは野球じゃなかった。
野球をしていれば必ずお前の姿が目に浮かんで、野球を思い出すだけでお前の笑顔が忘れられないから。
あたたかな時間を壊してしまった罪悪感。
俺がいちばん怖がって逃げていたものは、ずっと、そんなものだった。



