「あたしはずっと信じてる」
ああもう、俺。
こいつだけが応援してくれればいいんだって、そんな馬鹿げたことを思ったりして。
人差し指、中指、親指。
基本の握り方、足の踏み込み方、腰や肩の入れ方。
忘れたことなど1度たりともなかった俺は、ボールを握っただけで自然と作られてゆくフォーム。
サウスポーのほうが武器になるからと、かつての俺は無理やりにも左利きに変えたっけ。
「─────………届いた……」
俺の左手から放たれた1球は、途中でバウンドしたものの。
トントンと地面を跳ねてから、静奈が構えてくれているグローブのなか、しっかりと入った。
今のが、今の俺の、精いっぱい。
「また…、見れた……っ」
そして静奈はガクリと膝を落とした。
ポタリポタリと、地面が湿ってゆく。
あんなにも負けず嫌いだった女の子が、こんなにも堂々と見せてくれた涙。
「…静奈、」
「あたしはっ、あたしがあんたが…っ、ミユが、……みゆうが…っ」
「……うん」
「ここにいるだけで…、生きていてくれただけで、うれしい……っ」



