あれを見たらもう、恨むなんてことが馬鹿馬鹿しく思えた。
「決勝、どのくらいの観客が集まんのかな?若戸は部員数もかなりだろうから、圧倒されないよーにね」
「…………」
「シズナは記録員としてベンチ入れるんだろ?…熱中症、気をつけて」
「…………」
「あ、甲子園行ったらお土産買ってきてよ。関西名物って何があるっけ」
顔を伏せつづけている静奈。
なにか言いたいことがあるんだろう、俺を責めたくてたまらないんだろう。
だからあえて笑ってやってるんだ俺は。
お前が泣かないように、俺が笑ってあげる。
「っ、」
かと思えば、勢いよく背中を向けてどこかへ行ってしまった。
もしかすると怒らせたのかもしれない。
でも、俺だってこの反応がいちばんいいと思ったんだよ。
これしかないだろ。
これしか…できないじゃん。
ポツンと残された空き地。
あいつの扱いはやっぱり難しいな…と、息を吐いてから帰ろうとすれば。



