「決勝前の練習おわり?」
「…そう」
「また焼けたね。いつもお疲れさま」
ぶすっと、可愛くない反応。
もちろん予想できていたし、“ありがとう”なんて返されたらそれはそれで戸惑う。
ふと、前までと印象が変わっているシズナの頭部に目が向かった。
「髪、切ったんだ」
「……鬱陶しかったから」
「いいじゃん。似合うよ、それ」
今までは後ろで一つ縛り。
触覚も作らないで、キツい性格を表すかのごとく、キチッとまとめられていたはずが。
山から降りてくる夏風にいちいちサラサラと反応するほどのショートヘアに変わっていた。
鬱陶しかったから。
そんな理由すらシズナで、俺は不覚にも笑ってしまう。
「おめでとう決勝進出。勝てば甲子園……か」
嫌味じゃないよ。
皮肉でもないし、俺だって素直に嬉しいんだ。
準決勝はリアタイでは見れなかったけど、ニュースですぐに知った。
怪我から復帰した代打が、見事な追加点を入れたところ。



