指導する側かあ───と、夕焼け色に染まる山々を見据えた久賀 水悠は嬉しそうだった。
私も思うよ久賀くん。
あなたは弁護士より、指導者のほうが似合っている。
「…俺だから言えるんだよなこれ」
「え?」
「俺だから、言えんだわ」
ピッチャーからキャッチャーに変更した友利だからこそ。
1度は野球というものを手放した友利だからこそ。
どん底から這い上がってここまで来た、友利だからこそ。
きっと久賀くんの気持ちを誰よりも理解できるのは友利だ。
そして、友利の気持ちを理解できるのだって久賀くん。
「新しい道はいろんなところに落ちてるってことだよ、久賀くん」
「……早見。俺と付き合う?」
「は!?急になに言ってんだよ久賀…!!」
「冗談だって。そんな興奮するなよ猿じゃないんだから」
「…………」
バッと出た友利の背中で久賀くんが見えなくなった。
ふわりと香った、汗に混じる友利の匂い。
それがなんとも胸をくすぐってくる。



