「あんたなんか簡単に野球を捨てて女に逃げて……、ほんっと格好悪い!!」
もう、関わりたくなかった。
嫌なの。
あんたを見ると過去のヒーローを思い出すから。
声も背丈も変わってしまったけど、ふとした仕草が同じ。
あたしを甲子園に連れて行ってくれると約束したヒーローは、もう死んだことにしていた。
それなのに、嫌なほど思い出す。
「あたしがずっとずっと…っ、マネージャー……っ」
を、つづけているのは。
あんたとの約束を守りたかったから。
これさえ続けていれば、いつか約束だけは叶えることができるんじゃないかって。
それを、あんたによく似た友利に重ねていただけ。
そうしているうちに、そちらが本物だと思い込んでしまっていた。
『お前が心から応援したいのは、信じてんのは、信じたいのは……本当に俺?』
『俺がデッドボールさせたとき。…そんとき森、真っ先に誰の名前を呼んでた?』
ドキリとした。
ずっとずっと忘れていたことを、忘れたかったことを、覗きこまれた。
でも、信じつづけている自分がたまに馬鹿馬鹿しくも思えて。
違う形でも叶えられる日が来るんじゃないかって期待している自分が。



