『一緒に行くからね、甲子園』
『連れてってくれるんでしょ、絶対』
早見 彗の言葉が、過去の記憶を強引にも思い出させてきた。
いつかの自分もそんなことを誰かに言っていたような気がする。
「……あれ?見ないうちに身長縮んだ?」
「………」
病院を出たところで、目にもしたくない男に鉢合わせる。
鉢合わせる……?
違う、こいつはあたしが来たことを知って待っていたんだ。
手すりに寄りかかるようにして浮かべてくる、目にするだけで虫酸が走る薄ら笑い。
「珍しい。そのスポドリ、甘くないから嫌いだったのに。飲めるようになったの?」
「…………」
「あ。誰かに渡すつもりだった、とか?」
「……っ、うっさい!!」
スルーできず投げつけようとしたペットボトル。
は、それ前に掴まれた手によって失敗に終わった。
「相変わらずだね、シズナ。…久しぶり」
「…気安く呼ばないで」
「気安くではないよ。しっかり呼んでる」
なに言ってもこいつには無駄。
訂正させるほうが時間の無駄。



