その悪女キャラ、視聴者には嫌われてたっぽいんだけど…。
ぶりっ子だけど空気が読めるし、わりと周りを見ている子だったから私は好きだったんだよね。
「お、つぎ俺?」
「お前はいらねーだろ。皆さんより抜け駆けしてんだからよ!」
「それが名前は教えてねーの俺も。な、早見」
「…………」
そこで私に振る…?
てか、いきなり呼び捨て…?
あのときせっかく修理した自転車を倒してから逃げたこと、初対面にも関わらずバカと言ったこと。
私はとくに謝る気なんかなかったけど、やっぱり謝らない。
ただ、とりあえず面倒だから。
こくっと首を浅く落としておいた。
「俺は友利 洸大(ともり こうだい)。好きな虫は……雪虫とか?」
「おい、自己紹介で好きな虫なんか言うかよ普通!」
「そーよそーよ!ドン引きなんだけど友利!」
周りから飛んでくる野次を他所に、ニッと、あのときと同じ顔。
ほんの小さな虫に叫び声をあげてまで怖がった私を、きっとそいつは今も面白がっているんだ。



