ドアを開こうとした手が、止まった。
室内からは主治医と思われる医者と、友利の声。
「…友利くん」
「カルシウムとビタミン、摂りまくります。このバストバンドさえしてれば動けるし、リハビリも毎日して…、
痛みさえ我慢すれば骨は自然とくっつくのが骨折だって、ネットに───」
「友利くん。幸い内出血などは起きていないとしても、完全ではない状態で無理をさせると…今度は肉離れを起こしてしまう危険だってあるんだ」
「……だとしても…こんなとこで諦められるかよ…、まだ、まだ……始まったばっかなんすよ、」
しばらくするとドアが開いた。
見えないように姿を隠した私に気づいたのは1人の医者。
なにも言わず、そのまま去ってゆく。
「…友利」
左肋骨に手を当てながら悔しそうに眉間を寄せている友利へと、私はとうとう声をかけた。
メールも電話も無かったのは、その姿を私に見せたくなかったからでしょ?
甲子園は私たちの夢。
またあんたは自分が潰したと、責めているのかもしれない。



