早見 彰(はやみ あきら)───それがお父さんの名前だ。
たまたま同名を言ったのか、
それとも彼はお父さんを知っているのか。
ただ、「彰の娘」と言って私を見たということは。
「似てるよ、すごく。初めて見たとき……彰が見えた」
だから私にいろんなことを質問していたんだと。
彼はひとつひとつ確かめたかったのだと。
「彰と俺は、高校時代。ここでバッテリーを組んでいてな」
「……え、」
「ピッチャーは彰、キャッチャーが俺。甲子園は…行けなかったが。楽しかったよ」
かつてお父さんが親友と呼んで、ライバルと言って、師でもあると敬っていた存在。
父が誰よりも尊敬する人が、いま私の隣に立っていた。
「あいつは……馬鹿なことをしたな」
間を置いてから頷くしかできなかった。
馬鹿なことをした。
そーだよ、お父さん。
なにを馬鹿なことをしているの。
それだけは何があっても絶対にしちゃダメなこと。
内容も内容だったため、父の葬儀は親族のみで執り行われたあの日。



