「やっと…、やっとまた……、大好きな野球ができるようになったのになあ……っ」
こんなにも元気な人を泣かせるなんて。
笑顔で構成されたようなお母さんに涙を流させるなんて。
……なに、してるの。
野球部がこの先、2回戦、3回戦、準決勝にまで進んだとしても。
反対にどこかで負けてしまったとしても。
どちらにせよそこに友利の姿は───…ない。
「ちゃんと捕れよ坂井…!!いまの球なんか基本だろーがっ!!」
「すっ、すみません…!!」
「2塁送球も遅ければコントロールねえしよ、必ず試合で盗塁決められてんだろ!!
お前がそんなだとこっちだって安心して投げられねーんだよ!!そんなんで次の試合に通用するかよ…!!」
「おい有馬!やめろよ、さすがに言い過ぎだぞ!!……坂井は頑張ってんだろ」
「っ、……悪い…」
野球部の雰囲気は最悪だった。
ずっと友利とバッテリーを組んでいた、エースでもあるピッチャー有馬くん。
代わりとなったキャッチャーは2年生の後輩らしいのだが、焦りに負けてミスを連発していた。



