「はっ…!はあ……っ、はっ、」
予選が始まってからは月曜日も朝練がある野球部。
ただ、静かだった。
グラウンドから聞こえた部員たちの声が、無理に気合いを出させているようなものに聞こえて。
そしてそのあと、通りすぎた生徒たちの噂話に、私は逆走することになる。
「───…彗ちゃん」
「あのっ、友利は…!」
「ええ、わざわざ来てくれたの?ごめんねえ」
そんなこと今はどうだっていいの。
穏やかに落ち着いているように見せて、彼によく似た彼女もまた無理をして笑っていた。
“友利”と書かれた表札の前。
息を切らした私を安心させたつもりのお母さんの言葉は、私に倍の不安を与えてきた。
「大丈夫!あの子だもの、意地でも復活するわ!」
「……骨折……って、」
「…肋骨(ろっこつ)をね、ちょっとだけね。でも…大丈夫、大丈夫よ」
───ねえ聞いた?初戦、ヤバかったんだって。
───ヤバかったって?だって勝ったんでしょ?
───うん。勝ったには勝ったらしいんだけど…、キャッチャーの友利くんがさ……、



