「久賀くん、勉強教えてあげるから……、友利にはあまり近づかないで欲しい」
公園内の東屋。
雨も凌げて、日中は木の葉が日射しからも守ってくれる。
そんな場所で私がハッキリと言うと、彼の左手に持つシャーペンが止まった。
こんな交換条件みたいなこと、最低だ。
わかってる。
わかってるけど…、それでも。
「…久賀くんなんでしょ。かつて、野球ができない身体にさせられた人って」
「……そーだよ」
彼は友利よりも才能があった、と。
今はもう卒業していった野球部員が吐き捨てていた言葉。
そのときの小さな背中。
「仕方ない」と繰り返していた、切なそうな笑顔。
「友利は今、本気で甲子園を目指してる。久賀くんに対する過去の出来事も抱えながら…、責められながら、それでも……絶望を希望に変えようとしてる」
「俺もそうだったよ」
バッサリと切り捨てるような低い声。
息を飲んでしまった私に、シャーペンを置いた久賀くんは冷たく見つめてくる。



