「言ったろ。俺は…、お前みたいに勇気も度胸もねーんだって」
お前がいないと無理。
お前がいないと駄目。
情けない、なに言ってるの、って。
生意気に言ってあげられなかったのは、嬉しかったから。
「俺は彗と出会えて良かったよ。お前がこの町に来てくれて……良かった」
「っ…」
「…変な話、運命だと思った」
そーいうものは信じていなかった。
運命だとか奇跡だとか。
赤い糸だとか、巡り合わせだとか。
ずっとずっと、信じていなかった。
でも今は、信じてみたい私がいる。
「ありえねえの、まじで。俺が甲子園とか、八木坂が準優勝とか。……あのとき出会って、お前が転校してきて、背中押されて。それで今があって……、ほんとすげーよ」
もし私と出会わなかったら、友利は“それなり”に毎日を生きていたのかもしれない。
“それなり”に野球をして、“それなり”にキャッチャーをして、“それなり”に恋をして。
私だって、光すら当てられない暗闇でずっとずっともがき続けていたかもしれない。
「…進学、したいんだろ」
「っ、…別に、したくない」
「嘘つくな」
「………、」
どうして当ててくるの。
鈍感な野球一筋なように見せて、どうしていつもいつも。
いつも、私のことだけは見ているの。



