「…そんだけ?」
そんだけって……。
さいていだ、最低だ、サイテーだ。
私の抱えていることなんか、この男にとってはちっぽけで心底どーでもいいってこと。
「私は…っ、野球のルールなんか分からないし、キャッチボールだってできない…!
練習に呼んでくれたと思えば私には勉強教えろって…っ、ふざけんなっ!いい加減にしろバカ……!!」
それしか取り柄、ないよ。
そんなの知ってるよ。
でもあんただけはそうじゃないって、本当の私を見てくれるんじゃないかって思ってた。
「他は?いつも隠してること、そんだけじゃないだろ」
いろいろあるに決まってる。
あんなにも温かくて素敵な家族に恵まれたあんたなんかに、わかるわけない。
「っ…、帰る!!!」
パシッ───!
「っ…!はなし…っ、」
捕まれた腕。
どうにか振りほどこうにも力が出なかった。
「キャッチボール、できただろ」
「あんなのっ、できたって……言わない、でしょ」
「言うよ。ちゃんと俺のグローブに届いた。…できてんだよ、それで」



