「母ちゃん俺さー、せめてシャワーくらい浴びてえんだけど」
「とか言って走り込みするつもりなんでしょ!今日くらい野球はナシ!それに、家に帰っても夕飯ないわよ」
「は?だってリュウセーは?」
「あの子はコンビニでいいって」
「…あいつほんとインドアだよな」
ドキッと、声を聞いただけで胸が鳴る。
端っこ、用意されたお弁当にすら手を付けられないまま目立たず座っていた私の場所にまで届いてくる、仲の良さ。
玄関から一段上がった先は座敷になっている集会所。
その親子は靴を脱いでいるらしい。
「それが案外、青春してるのよねー。あの子ああ見えて彼女いたりして。美術部の大人しそうな子」
「……あいつ陸上部だろ?今年の中体連が勝負だってのに調子乗りすぎじゃね?つーかそれ、初耳なんだけど」
「あんたにだけは教えたくなかったんじゃない?」
「なんでだよ」
なんとも会話量が多い親子だ。
そんな微笑ましい親子の会話に、せめてグラスに入ったオレンジジュースにだけ唇をつけることができた。



