出ていきたい、出ていきたい。
こんなところ早く、出ていきたい。
「はじめまして。早見…彗です。…よろしくお願いします」
息が詰まりそうだ。
どんな経緯で私がこの町に来たのかなんて、全員が知ってるくせに。
わざわざ本人に言わせることで、集団いじめをしている側に似た優越感を味わっているんだろう。
ああ、もう。
その目、大っ嫌い。
「育江ちゃんとりょーちゃんのとこは子供がいないからねえ。賑やかになっていいんじゃないかい?」
「ふふふ。もう、大変よー。ねえあなた」
「…………」
「ははっ、りょーちゃんは相変わらずだなあ。大変なのは彗ちゃんってか」
「ちょっとあんた!もう!飲み過ぎよ!ごめんねえ彗ちゃん、ほんとデリカシーが無くて困っちゃうわよね」
ただ目立ちたいだけの伯母と、外に生えている木と性能は変わらない伯父。
盛り上がってさえいれば町に絆が生まれていると勘違いしている憐れな住民たち。



