そうじゃないでしょ。
あなたの実の弟が亡くなったんだよ…?
海岸付近の車のなかで発見されたんだよ…?
外傷はなく、誰かと一緒だった形跡もなく、それはあまりにも計画的な死だった。
死因は一酸化炭素中毒という名の───自殺。
「…っ」
どうしてそこまで冷たくあれるの。
確かに昔から関わりは薄かったのは知っているし、お父さんは親族のなかで嫌われ者だったことも知っている。
あなたたちがそんな態度だから、お父さんは孤独に耐えきれず死を選ぶしかなかったんじゃないの───、
お願いだから、これ以上お父さんに顔向けできなくさせないでよ…。
「彗ちゃん」
「……着替えたら、行きます」
「待ってるわね?」
「…はい」
とてつもない圧が、かかった。
周りへの顔を大切にして、周りの目ばかりを気にする、この町の嫌なところ。
「ほんと…、ありえない……っ」
唇をぎゅっと噛む。
こぶしをぐっと握る。
悔しいとき、抱えた気持ちを素直に言葉には出せないとき。
人間はこーいう仕草をするんだ。



