「早見さん大丈夫?初めてだから体力が追いついて来ないかな?」


「……えっと、…うん」


「少しうしろで休憩してていいよ。たぶんこのセット取るから、つぎに備えてて!」


「…すみません」



今日、わかった。
こうして応援したいわけじゃないことに。


ただ1人を応援したいだけのことに。


遠くからでもいい。

目立ちなんかしなくても、彼の姿が見えるならそれで。

それだけで満足するんだ、私はたぶん。



「ぜんぜん楽しくなかった…」



部活ってこういうものなのかもしれないけど、楽しさがあっての我慢とか努力じゃないの。


最近はチア部に引っ張られがちだった、進路という悩み。

これだったら一心不乱に勉強していたほうが楽しいとまで感じてしまった。



「ライトライト!!泰希っ!!」


「おう!!洸大っ、行くぞバックホーーム!!!」



ようやく試合が終わり、市民体育館から戻った送迎バスを降りた頃。

低くかすれた声たちに釣られるように、私が向かった先は見慣れたグラウンドだった。