「こんな田舎っ、私だって来たくなかった……!」
マフラーをしてこなかった自分が大嫌いになるくらい、寒い。
甲信越地方の2月を軽率に考えすぎていた。
………あ。
こうして叫んだとしても誰も気にすることがないってところかな、良いところを追加させるとするなら。
それとおまけにもういっこ、信じられないほどに川の水が透きとおっている。
「お父さんのバカーーーっ!!…ばか…、なんで…、なんでなんだってば…っ」
変だった。
おかしかった点に、今さらになって心当たりが出てくる。
朝釣りのほうが好きだといつも言っていたくせ、その日はなぜか夕方に家を出て行った。
前日までお酒を多く呑んでいたような気がする。
苦手だと言っていたお酒を、あんなにもたくさんガブガブと。
そして父は、ほんの小さな笑顔を最後に1度だけ見せて、2度と帰って来なかった。
もう会えないなんて、死んじゃったなんて、実感が湧かなければ意味わかんない……。



