追いかけろ、青。





確かに甲子園へ行くことは名誉なことであり、すごいことかもしれない。

でも、お父さんは、そのバッテリーを組んでいた人は、きっと。


そこまでの道のりを何よりも大切にして、宝物にしていたんだろう。


甲子園出場を懸けた決勝戦まで進み、若戸学園を前に負けてしまった、その日までの思い出を。



「見学かい?」


「えっ、あ……、はい…」



いつの間にか練習内容はまた変わっていて、気づけば私の隣にはさっきまで友利に付きっきりで指導していた男性が立っていた。


お父さんと同じ歳くらいだろうか。

この年代の男性を近くにすると、どこか切ない気持ちになる。



「俺はこの野球部の監督をしている…寺田(てらだ)だ」


「……はじめ…まして」


「はじめまして」



ここは私も名乗ったほうが良かったか。

小さく悩んでいると、練習を続ける教え子を眺めながら寺田監督は沈黙を破った。