ピッチャーとのバッテリーを強化しなければいけないし、守備への指示や分析する洞察力、試合を組み立てていく力が求められる。
捕手とは、簡単に言えばチームの肝っ玉母ちゃんであり、扇の要(かなめ)。
………と、知識だけは今の私にも入っていた。
「どんなにすごい球を持っているピッチャーだって、キャッチャーがいなければ投げることすらできない」
ボソッと、独り言。
これはお父さんが口癖のように言っていた言葉だった。
テレビでたまたま放送されているプロ野球を目にしたときより、やはり夏の甲子園中継のほうが格段と口数が増えていた父。
『だから野球において、キャッチャーがいちばん大事だと俺は思う。常にホームベースを守ってる司令塔、欠かせない存在だよ』
『でもお父さんはピッチャーだったんだよね?』
もっとピッチャーを褒めるべきなんじゃないの、謙虚すぎるんじゃないの。
私がそう言うたびに、お父さんは幸せそうに微笑んでこう言った。
『かつて俺とバッテリーを組んでた同級生はな。俺の親友であり、ライバルであり、師でもあるんだ』
誰よりも尊敬している───と。



