喋ることに精一杯で気付かなかったが、奏斗の声はとても柔らかく耳に馴染む。知り合って間もないが、好きな声だ。
火照った頬に冷たいグラスを押し当て、小春は「やっぱり小春さんで」と言おうとしたが、それよりも先に奏斗が口を切った。
「辛かったでしょ」
固まってしまった小春を見て、彼が眉を下げて笑う。
「俺、小春ちゃんみたいな嫌な経験したことないから、軽く聞こえるかもしれないけど……誰も味方してくれない状況が続くのって、結構キツいと思う」
「……」
「あと自分のことを他人に全部決められる不快さ、っていうのかな? 子供の頃ならまだ分かるけど、やっぱりそれって、こっちの意見なんて最初から無いものにされてるわけだしね。人じゃなくて物扱いされてるみたいで、嫌だな」
ああ、そうだ、まさにその感覚だ。小春は鼻の奥がツンとなった。
ずっと、人として見られていないような気がしていた。
大雅はもちろん、最近の母もそうだった。小春の意見を聞きもせずに話を進めて、嫌だと拒否したら理不尽に怒って、不機嫌になって。
どれだけ主張しても譲歩しても、小春の要望はいつまで経っても叶えられない。
でもみっともなく泣きたくはなかった。それこそ幼子が駄々を捏ねているのと同じように思われて、適当に受け流されそうな気がしたから。
だから──誰にも打ち明けられなかった。泣きそうなほど辛いのに、「それぐらいで」と笑われるのが怖くて。
大したことないと自分で笑い続けて、いよいよ今日、限界が来たのだ。
「……ごめんなさい、奏斗さん」
「ん?」
「初対面だったのに、あんなこと言って」
火照った頬に冷たいグラスを押し当て、小春は「やっぱり小春さんで」と言おうとしたが、それよりも先に奏斗が口を切った。
「辛かったでしょ」
固まってしまった小春を見て、彼が眉を下げて笑う。
「俺、小春ちゃんみたいな嫌な経験したことないから、軽く聞こえるかもしれないけど……誰も味方してくれない状況が続くのって、結構キツいと思う」
「……」
「あと自分のことを他人に全部決められる不快さ、っていうのかな? 子供の頃ならまだ分かるけど、やっぱりそれって、こっちの意見なんて最初から無いものにされてるわけだしね。人じゃなくて物扱いされてるみたいで、嫌だな」
ああ、そうだ、まさにその感覚だ。小春は鼻の奥がツンとなった。
ずっと、人として見られていないような気がしていた。
大雅はもちろん、最近の母もそうだった。小春の意見を聞きもせずに話を進めて、嫌だと拒否したら理不尽に怒って、不機嫌になって。
どれだけ主張しても譲歩しても、小春の要望はいつまで経っても叶えられない。
でもみっともなく泣きたくはなかった。それこそ幼子が駄々を捏ねているのと同じように思われて、適当に受け流されそうな気がしたから。
だから──誰にも打ち明けられなかった。泣きそうなほど辛いのに、「それぐらいで」と笑われるのが怖くて。
大したことないと自分で笑い続けて、いよいよ今日、限界が来たのだ。
「……ごめんなさい、奏斗さん」
「ん?」
「初対面だったのに、あんなこと言って」



