「...きれい、だねえ」


「ね」



もう、終わっちゃう。


このまま青色の花火があがって、ごめんなさいって振られるんだ。



全然綺麗だなんて思えなくて、感動できなくて、あの日みたいに琉火くんの瞳が青く染まるのを見つめている。私の視界はぼやけていった。


きっと琉火くんは、目いっぱい綺麗に花火が映っているんだろう。


...あ。


見つめすぎていたのか、目が合ってしまう。


感動したの、と微笑む琉火くんを夢だと勘違いした。



琉火くんが、笑ってる?



私の目尻を拭って、はっきりした視界でも琉火くんは笑っていて、今更気づいたんだ。



見てたから、わかるよ。ずっとずっと好きだったんだから。



「琉火くん、私のこと好きじゃん...?」


「今更だね、結構わかりやすくしてたけど」


「う、うそ!琉火くんのわかりやすいは人並にいえばわかりにくいよ!」


「生意気」



少ししゃがんだ彼の顔が近くなったと思えば、耳にかかっていた髪を解いてやさしく梳く。


花火なんて全然見えなくて、遠くから聞こえる歓声はもう他人事、それよりも耳のすぐそこで止まった琉火くんに声が出なかった。