「ままならないもんだな」
「ああ、思うようにはいかないもんさ」

 ・・あの洞窟の状況を、シュテルツに伝えた。
 彼は瞠目して聞いていたが、
「やはりな、裏ではそういうことになっていたんだな」 

 と、アーロンは突然、
「一番の問題はあのグリンドラ王なのだ」
 
「お前、滅多なことを」
「あの方の元でどれだけ頑張っても先が見えている。頂点に立つ者の(うつわ)で方向が決まるんだからな」
 とじっと考えていたが、

「政治とはな、国の皆をつなぐパイプのようなものだと思うよ。それを無くして統治などできるものか」