・・と、一人の老兵が目を丸めた。
「あ、あれは!」
「え? あの男を知っているのか?」

「あの男だと? バカやろう、あの方は・・ハインツ閣下だ」
「ハインツ閣下だって?」

「そうだ、国軍の最高司令官のアーロン・ハインツ様だ」
「ええっ!」
「俺も一度しか見たことはないがな」
 ラクレス公の供をして王宮に行ったとき顔を合わせたのだと言った。

「忘れる訳はないんだ、あの眼光、威厳、一目見たら焼き付いてしまうご仁だよ」
「・・! だったら、そんな方がどうしてこんな洞窟に来ているんだ?」
「そんなこと分るもんか、本人に聞いてくれ・・」