逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「パイプのようなもの?」
「こうすべきというものが分っている。そこに向かって進もうとする。だがそれをくみ取る者がいない。下の者はそれを伝える(すべ)がないのだ」

 声に怒りが滲んでいる。
 
「なんとも歯がゆいものだな、下に立つという事は」
 
 何かを遠望する、そんな顔になっていた。

 シュテルツが目を見開いた。

 長年の友の別な顔を見た気がした。