白い物体が外を見る。何を思ったのか彼らのあとを追って行く。
 廃墟の外から再び悲鳴が上がった。

 アーロンは呆然とそれを見ていた。
 だが部屋には娘が残っている。

 娘は顔を伏せて倒れていた。
 手を出すとすがりついてきた。おずおずとアーロンを見上げ、やがて目の焦点が合ってくる。

 安心させてやろうと微笑んでみせた。

「アーロン様」
 後から追いついた臣下だった。
 彼らは棒立ちになっていた。目の前を不気味な白い物が通り抜けたからだ。

「まあ、落ち着け」
 わざとのんびり声をかけた。

「ひとまずこの娘を、そうだな俺の屋敷に連れて行こう。事情を聞くのはそれからだ」

 ソフィーはまだ青い顔をしていた。
 

          * * * * *