逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 ある日、一つの事件が起こった。
 数人のケイネ兵が国境に住んでいる娘に狼藉を働いたのだ。
 ラクレス公が厳重に抗議した。

 だがケイネ伯は聞く耳を持たなかった。
『平民の娘だろうが、我々がここを守ってやっているんだ、多少のことには目をつぶるべきなのだ』

 老兵は声を震わせて、
「そういった事のあれこれは王宮に報告しづらいものでございます。友軍の悪行を告げ口することになりますので」

「そうだろうな」