その彼らも国境へ連絡便があるときは馬車を使って出向いていたのだという。
「けっきょく、あの夜は誰も警護に就いていませんでした。鍵をしっかりかけておけば何とかなると思ったのですが・・」
 男はその鍵を壊して入って来たのだった。

 このままでは危ない。
 状況を知った賊は仲間を集めて再び襲って来るだろう。

 ソフィーは考えをめぐらした。

 この屋敷がある周囲の山は水が豊富だった。
 あちこちで水が湧き、それが土地を侵食して大小の洞窟がある。
 その洞窟を利用したらどうだろう。

 負傷兵らに相談した。彼らも同意する。

 まず生活するだけの物資を運び込んだ。
 そして少しずつ負傷兵を移動させた。