その亡骸を、ギースは地中に埋めた。
 周囲に知られれば自分らの罪が発覚するからだ。

 ケイネが言った。
『密書はダン・ラクレスが持っているはずだ、なんとしても探し出せ』

 王宮に向かった兵を途中で始末した。
 その荷物を調べたが無かった。
 ギースとケイネが仕出かした軍事機密漏洩の報告書はあった。だが肝心の密書は無かったのだ。

 ラクレス公の荷物から部屋の至る所まで探したが無かった。

 ギースははたと思った。数日前、彼を訪ねて娘が来たと聞いていた。ではそのときソフィーに密書を託したのではないか。

 それを父ケイネに告げた。



 誰もいない部屋で、ギースは頭を抱えていた。
 あの土の中から、ラクレス公が今にも起き出してきそうな気がした。
 腐敗しかけた体で、ギースに何か言いたげな顔で・・。

『うわあっ!』
 耐え切れず叫び声をあげた。