『この密書はどういうことだ?』
 人払いをした部屋で、ケイネ親子は大男と対峙する。

『ごらんの通りですよ。我が軍も行動を起こすときが来ましたのでね』 
『・・っ!』

『まずはこの国境を超える必要がある。そのための情報を提供してほしいのですよ』
『・・そ、そんなことが』

『出来る訳がない、こともないでしょう?』
 不気味に笑った。

『今までいろいろ情報を提供してくれたんだ。もしこの依頼を断ったら洗いざらいぶちまけますよ、この駐屯地の方々にね。ケイネ様はこんな情報を流してくれたのだと』
『・・・・』

『さぞ驚くでしょうな、ラクレス隊は。いや、あなたの家臣のケイネ隊もさぞショックでしょう、(あるじ)がこんな事をしていたと知ったなら』