逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

『これをどこへ置けと言うのだ』

 ケイネは密書を手に震える。
 引き出しや荷物に入れてもすぐ露見しそうだった。

『これはお前が持っておけ』
『え?』

『今日は周辺の見回りがあるんだったな、その道中で燃やすのだ』
『も、燃やしたところで。それに見回りは俺一人じゃない。我が隊の兵もラクレス隊もいるんだ、それでいつ燃やしたりできるんだ』

『何とでも言って一人になればいいだろう。こんな紙切れだ、すぐに燃え尽きるさ』

 渋るギースに無理やりねじ込んだ。