逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 親子は青くなった。
『それが嫌なら、そうですなあ、ラクレス隊の内部の情報を教えていただけますかな』

『内部の情報ですと! そんなことをすれば大罪だ、出来る訳がない』
 慌てて帰ろうとした。

 しかし大男はナイフを振り上げてくる。

 仕方なしにラクレス隊の配置場所を教えた。

 その日はそれで終わった。だが一つ提供してしまうとそれをネタに次の強請りが始まった。
 強いられるたび情報を小出しにしてしのぐ。
 
 ある日大男は駐屯地までやって来た。ギースの前に立つと、

『今日は折り入ってお願いしたいことがありましてね』
 一枚の紙を出した。

『我が主筋からの密書ですよ』
『みっしょ、だと?』