逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 そこは賭博場だった。
 ひやかし半分に賭けてみる。
 すると面白いように勝っていく。

 翌日は父のケイネを誘った。
 親子で賭けてもやはり勝ちが続いた。
 大男は勝ちっぷりをほめそやす。
 二人は毎日のように通った。

 だがその勝ちの間に負けが混じるようになった。
 こんなはずでは、と焦って元手を取ろうとする。

 気がつくと途方もない借金をしていた。

 大男はニヤリと笑った。
『払えなければ、そうですな、指の四・五本でもいただきましょうか』
 すごんでナイフを出した。