国境では、以前からラクレス隊が警備に当たっていた。
 そこへ取って付けたようにケイネ隊が加わったのだ。混乱がなかったとは到底思えなかった。

 そして、そのケイネ伯の国境滞在は長くはなかった。
 わずか半月後に都に舞い戻って来たのだ。

 体調を崩したとの理由だった。あとの指揮はケイネ隊の隊長に任せて慌ただしく戻って来たのだ。

 そのあとで、息子のギースもなぜか国境から姿を消したという。
 何かがあったらしい。

 しかしケイネは頑として仔細を言おうとせず、あれは不肖の息子で修行に出した、と嘘くさい言い訳を繰り返していた。

「さてさて、向こうで何があったものか」
 シュテルツは頭を掻き、
「そうだな、どうも厄介な気配を感じるな」
 アーロンも腕を組んだ。


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