高い位置にあるステンドグラスから、神々しい光りが落ちている。
 王宮の神殿の下段に、名だたる諸侯が並んでいた。

 上段の中央にはアーロンがいた。
 彼はまばゆいばかりの深紅のローブをまとっている。
 そのローブには、この国の国家元首にだけ許される黄金の鷲の縫い取りが施されていた。
 もとより容姿端麗で上背がある彼がそれを羽織った姿は圧巻だった。

 神殿の奥から大神官が姿を見せた。
 彼はアーロンのそばに歩み寄った。
 かたわらに置かれた王冠に手をかける、そしてアーロンの頭上にもたらした。
 厳かなファンファーレが響く。

 ここに、グリント―ルの新しい国家元首が誕生した。


 式は、続いてソフィーとの婚儀に入る。

 ソフィーの衣装は真新しいウエディングドレスかと思われた。
 しかし彼女が身に着けていたのは、あのベアトリスのけむるようなレースの逸品だった。
 今日はその上に、深紅のローブを袈裟懸けにはおっている。
 純白のウエディングドレスに鮮やかな深紅の重ね、それは目が覚めるようなコントラストだった。

 大神官がこの結婚を認め、行く末の多幸を祈願する。

 ひざまずいたソフィーに、神官は王妃の冠を授けた。
 アーロンの王冠よりやや小ぶりの、しかし対になった見事な品だった。