検察官が血相を変えて国王の部屋に出入りしている。 彼らは指示があるたびに馬を駆って王宮の外に向かって行った。 「どうしたと言うのだ」 「さっき誰かが召し出されたそうだぞ」 ただならぬ様子に宮廷人が噂している。 「呼び出されたのは商人のカライルだ。何かの嫌疑がかかっているそうだ」 「カライルだって、あの大商人のか。いったい何があったんだ」 「わからんよ。さっきは憲兵まで出動して、大掛かりなことが始まっていそうなんだ」 「ええっ」 騒動は、この日の深夜まで続いた。 * * *