逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ


 検察官が血相を変えて国王の部屋に出入りしている。
 彼らは指示があるたびに馬を駆って王宮の外に向かって行った。

「どうしたと言うのだ」
「さっき誰かが召し出されたそうだぞ」

 ただならぬ様子に宮廷人が噂している。

「呼び出されたのは商人のカライルだ。何かの嫌疑がかかっているそうだ」
「カライルだって、あの大商人のか。いったい何があったんだ」
「わからんよ。さっきは憲兵まで出動して、大掛かりなことが始まっていそうなんだ」
「ええっ」

 騒動は、この日の深夜まで続いた。


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