大窓からの光りは、刻々と位置を変えている。

 ソフィーはそっとドレスに近づいた。そしてひざまずいた。
 自分にあふれる想いを告げたいと思った。

 彼女はやおらドレスの裾を持った。
 目をつぶって唇に押し当てる。

 なにかが自分の中に流れ込んだ気がした。

 それはベアトリスの想いであったり、幼くして母を失ったアーロンの悲嘆な顔であったりする。

 このドレスを引き継いでいこうと思った。
 さまざまな思いを、自分の体で受け止めようと思った。

 熱いものが内側からこみ上げて来た。

 窓から薄明光線の、オーロラのような光りが、手を合わせたソフィーの上に、降り注いでいた。