逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「バッハスの狙いはグリントールの征服だ」
　いきなりデイズが言った。

「そしてここの負傷兵が襲われた事件と、俺が切られた事件は関連しているはずなんだ」

「負傷兵とお前の事件はわかった。だがそれがなぜバッハスの征服につながるんだ」
　
「それを調べていたんだよ。でもその前にこうなってしまったんだ」

「そうか。それならだな、なぜその怪我人がこんな洞窟にいるんだ。傷を治すならどこかの民家にでも行けばいいだろう」
「問題はそれだ。このラクレス領にバッハス人が住み着いているんだ、領民に紛れてな」
「え！」

「昔からの信用できる住民もいる。だが彼らに世話になれば、その家が標的になるかも知れない。それほどバッハス人が潜んでいるんだ」